観経曼陀羅
観経曼陀羅
観経曼陀羅とは何か?
観経曼荼羅(かんぎょうまんだら)とは、浄土三部経の一である『観無量寿経(観経)』の序分ならびに十六観を図像化し、西方極楽浄土の相を中心に表した荘厳相でございます。古来、「当麻(たいま)曼荼羅」「観経変相図」「浄土変相図」とも称し、同一の法意を示して伝来いたします。
本曼荼羅は、中央の内陣と三辺の外陣とに区画を設け、教相の次第に従って主従を明らかにいたします。
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内陣には、阿弥陀如来を中尊とし、観音菩薩・勢至菩薩を脇侍として安立し、聖衆・蓮池・楼閣など極楽の荘厳を精細に大画面で描写いたします。
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外陣の向かって左には、『観経』序分に説く阿闍世太子の物語を配し、因縁を示して本論へ導きます。
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外陣の向かって右には、第一観から第十三観までの観想の次第を順序正しく描き、観門の要を示します。
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下縁には、第十四観から第十六観に説く九品の来迎を配列し、摂取不捨の利益を具体に示します。
その淵源は、中将姫が蓮糸で織り上げたと伝承する綴織「当麻曼荼羅図」(国宝、奈良・当麻寺)に求められます。鎌倉期に入り、浄土宗の宗祖・法然上人(1133–1212)ならびに弟子・証空上人(1177–1247)らの唱導によって、諸寺において転写と礼拝が広く行われ、法門が一層流布いたしました。
浄土宗寺院の彼岸会においては、観経曼荼羅を荘厳して供養を修し、衆生が極楽の相を具体に感じお念仏の助けとなるよう図らいます。参詣の皆様には、阿弥陀如来の御慈悲を念じて「南無阿弥陀仏」とお唱えいただき、先祖代々ならびにご縁ある亡き方々の追善供養に励んでいただきます。
当山では、春秋彼岸中に限って観経曼荼羅を御開帳いたします。お彼岸の折には、どうぞ得生寺にご参詣いただき、浄土の荘厳に随喜してお念仏をお称えください。
得生寺