お焼香の作法

普段からの心構え

家庭をもつようになると、法事に参列したりと、いろいろとお付き合いが始まるものです。

いざというときに恥ずかしい思いをしないためにお焼香の作法や合掌の仕方、数珠のかけ方など、しっかり身につけておきましょう。

ここでお示しするのはあくまでも浄土宗のお作法です。菩提寺のご住職さまからお作法を授かっている方は、そのお作法でなさると良いでしょう。

菩提寺の宗派が良くわからない、という方は、この機会に確かめて覚えておきましょう。

実家と婚家の菩提寺が違う場合は最低限、それぞれの宗派名は覚えておくと良いでしょう。

お焼香の意義

そもそも、なぜお焼香をするのでしょうか?香偈という偈文(お経)にお焼香の意義が示されています。

お経文は、

願我身浄如香炉(がんがしんじょうにょこうろ)
願我心如智慧火(がんがしんにょちえか)
念念梵焼戒定香(ねんねんぼんじょうかいじょうこう)
供養十方三世仏(くようじっぽうさんぜぶ)

いかがでしょうか。書き下し文は、

願くは、わが身の浄きこと、香炉の如く
願くは、わが心智慧の火の如く
念念に、戒と定の香を焚焼して
十方三世の仏を供養し奉る

雰囲気は伝わりますが、どうでしょう。まだ分かりにくいと思います。現代語では、

私の身が、香炉のように清らかになりますように
私の心が、智慧の火のように煩悩を焼き尽くしますように
一念ごとに、戒と定の香を焚き
あらゆる世界の仏様を供養いたします

となります。

ですので、お焼香の意義とは、

自分自身の体と心を清らかにし、仏様をご供養するという気持ちで焼香を致しましょう。

ということなのです。

 

浄土宗の焼香の作法

心は形にあらわれます。正しいお作法でお焼香を行うことが何よりの供養となります。

 

香炉の前に姿勢を正し、合掌します。

ご本尊さま(ホールでの儀式の場合は写真となる場合が多い)に対し一礼します。

※浄土宗の御本尊様は「阿弥陀如来」です。なお、阿弥陀仏、無量寿仏、無量光仏はすべて同じ仏様の呼び方です。

 

お香を右手の親指と人差し指と中指で香を軽くひとつまみします。

 

そのまま右手を上に向けます。そしてこの右手に左手の掌を下から添え、恭しく、額のあたりまでくるぐらい持ち上げます。このとき頭も心持ち下げます。この作法が浄土宗の特長ですから、間違いのないようしっかりと行って下さい。

 

香炉の炭(香炭)の上に静かにくべます。

くべた後、指に香が残ることもありますが、香は本来清らかなものですから、そのまま自分の身体に頂く気持ちで、払い落とすようにはしないようにしましょう。

焼香の回数は、浄土宗では、1回、2回または3回です。

時間や周囲の状況によってはあわてて3回行うよりも正しいお作法により真心をこめて1回の方が尊く見える場合もあります。

 

ふたたび合掌、一礼をします。礼拝といいますように、かならず「礼」をしたあと、御本尊様を「拝」みましょう。

焼香の前後に導師、施主、参列者に礼をするかどうかは、参列者の人数によって変わることがありますので、会場の方の指示に従うか、前の方にならえば良いでしょう。

 

浄土宗の合掌と数珠の作法

浄土宗の合掌は、「堅実心(けんじつしん)合掌」です。要は、両手を揃えて合掌する普通の合掌の姿です。指がずれたりしないようにしましょう。

数珠は、浄土宗では「二連数珠」を用いるのが正式です。合掌するときは、親指と人差し指の間にかけ、浄土宗では手前にたらします。合掌でないときは、左手首にかけておきます。

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